キハ52と湖とあずさ

山科を出たあたりでうとうと。福井、金沢、富山となんとなく寝たり起きたりしながら北陸本線を東進。富山ではきれいな日の出を見ることができた。
ぼーっとしていると泊停車。次は降車駅の糸魚川だ。きたぐにの次順位ではあるが、今回の旅の目的の一つである大糸北線の分岐駅である。
きたぐに糸魚川に到着したので下車。朝の空気は昼の暑さとは違って心地よいものだ。
大糸線の車両はまだ中に入れないようなので、いったん改札を出て町を眺めてみることにする。まずはフィルムを使い切った今回の相棒TC-1に新しいフィルムを装てん。TREBI100を使ってみる。TC-1にはやはりリバーサルフィルムが似合う。
その後前日購入したパンを食べる。ワッフルは失敗。ジャムをつけづらくて仕方がなかった。
駅舎を出て駅前ロータリーを抜け、駅前の大通りを歩いてみる。どうやら歩いてすぐ海に出られるらしい。どうせだからと見に行くことにした。
数分歩くと堤防が見えてきた。そして怪しげなデザインの展望台も発見。とりあえず登ってみたものの、遠くを船が行きかうのが見える程度で、これといって面白みはないか。ぼうっと眺めるほどの時間もなく、さっさと駅に引き返すことにした。
駅に戻るとすでに大糸線の車両はエンジンがかかり、乗客もそれなりに居る状態のようだ。時計をよく見ると発車時間ぎりぎり。急いで写真を撮って乗り込むと、すぐに発車のアナウンス。程なくごろごろと、なんとも落ち着くような懐かしいようなディーゼルエンジンの音色が聞こえてきた。
いくつかの駅(乗客はほとんどなし)に停車しながら姫川と絡み合うように山間に進んでゆく。思っていたより速度は出しているようであるが、途中やたらとゆったりと走ることも。険しい山岳地帯を走る雰囲気を十分に味わうことができる。
登山客を数人ずつ降ろしながら、南小谷に到着。すぐに松本行きの列車に接続のため、改札を抜けて少し駅舎を眺めてから、急いで乗り換え。
今度は新型の電車である。旅の味わいは少ないものの、それはそれ、大糸南線の主役なのだから楽しむのが吉。
南小谷を発車した列車の車内を眺めてみると、ずいぶんと高校生の姿が目立つ。通学時間というわけでもないような気がするのだが、なにかあったのだろうか。
北アルプスの山々を眺めながら、有名なスキー場の最寄り駅に次々と停車。仁科三湖の一つである青木湖が車窓に見えるようになるともうすぐ降車駅。今回の旅の途中下車予定地は稲尾。木崎湖畔にたたずむ小さな駅である。
乗客は二人いたが、降車客は自分ひとり。列車が見えなくなるまで駅で見送りをし、木崎湖の外周道路へ。気持ちの良い晴天のなか、のんびりと湖畔を散歩。週末ということもあってか、釣り客が多いようだ。
湖畔の南側をぐるっとまわり、キャンプ場へ。中学の頃に来て以来だったので非常に懐かしい。水面をそよぐ風を浴びて一息ついてから信濃木崎の駅まで散歩。本当は一周しようかと思っていたが、時間がぎりぎりなので今回はあきらめ。
信濃木崎の駅に到着するも、次の列車までは少し時間があるようである。澄んだ青空の中を歩いてきた体を冷ますために、飲み物を買ってきて、日陰で樋口一葉にごりえなぞを読んでみる。きちんと読んだことがなかったので、この機会に読んでみようと図書館で借りて持ってきたのだ。
幾分読み進めると列車到着の時間。登山客やハイカーで意外に混雑した車内で空いた席に座ると、うとうととし始めて気づくと終点の松本。ずいぶんと眠かったようだ。
東京で結婚パーティーの前に人に会う用事を作ったため、松本からは鈍行でなく特急を利用。軽く駅蕎麦をすすってから、上諏訪と茅野、甲府、八王子にしか止まらない速達のスーパーあずさに乗車。にごりえの続きを読みつつ、うとうとしたらもう新宿に到着。
いったん実家に帰って身支度などをしてから、待ち合わせの場所へと向かった。