宍道に出雲

東京から大阪に向かうのに、出雲に乗って宍道から木次線、備後落合で芸備線に乗り換えて、三次経由福塩線で山陽にでて、そこから山陽線に乗ろうという物好きです。
さて、このあいだ出雲の乗車券と特急券、寝台券を買いに行ったときのこと。
駅員に列車名や発車時刻、乗降駅などを記入する指定券購入用紙(とかいう名前のもの)を出してマルスを打ってもらおうとしたところ、宍道の場所がわからなかったのかおもむろに時刻表の地図を開いて調べ始めた。
確かに「宍道」というのはそこまで大きい駅じゃないし、東京の駅員が知らないというのはわからなくもない。調べてくれるんだからいいじゃないか、と思った。
けれども、駅員の視線の先をふと見たとき、悠長に駅員が調べるのを待っていたら後ろの長い列に並んだ人からの視線がどんどん厳しくなるであろうことが容易に想像できてしまい、あわてて口を挟んだ。駅員は本当に宍道の場所がわからなかったのだろう。真剣に香川県のあたりを探していたからだ。
いったいなぜ彼はそんなところを探していたのだろうか。理由はいくつか考えられないでもないが、例えばサンライズ瀬戸と勘違いしてしまったということであっても、あまり説得力はなさそうだ。なぜなら、列車名はきちんと「出雲」と記入してあったし、なにより駅員に口頭でも「出雲」と言っているからである。もちろん向こうもうなずいた。
結局「このへんですよ」とカウンターから乗り出してだいたいの場所を教えたことで、ようやく駅員は宍道を見つけることができた。
駅名だけで「宍道」といわれて、いきなり山陰線の駅と思いつけるかどうかは、旅慣れているか「宍道湖」のことをすぐに想像できるかあたりにかかってくるのだろうから、いかに駅員といえどもそこまでの要求は、関東の駅であることからすれば難しいかもしれない(個人的には宍道湖くらい覚えておいてほしいと思うのだが…)。
しかし、仮にも特急列車の停車駅であって、その列車の始発駅が東京駅なのだから、寝台特急出雲と言われたらすぐに山陰方面であることを思いついてもらいたいものである。決してマイナーな列車ではないのだから。